30半ばにして初めて自分のその後の人生について考えたおっさんの顛末リアル更新

The World is Mine(くるり/2002年)

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リリースされた2002年と言えば僕は就職活動中だった。

先も見えない僕に、このアルバムはバッチリシンクロしていた。

 

9.11のアメリカテロで世界全体が見えない不安にかられていた時代だったと思う。そういう時代背景ともシンクロしていたこのアルバム。ずばり、「世界は僕のもの」。

要するに、「世界はもう僕のものではない」事を知ってしまったアルバムだ。

 

子供の頃は何にでもなれると思っていました。でも、大人になるにつれ、それは幻想でしかないと知るようになりました。様々なものに限界があると、知りました。

 

僕たちと同じく30代のロックバンド、くるりのサードアルバム。

アルバムは「Guilty」の「いっそ悪い事やって捕まってしまおかな」というつぶやきで静かに始まります。

絶望、無気力、無感情というRADIOHEADの「Kid A」の世界にも似ているこの曲は、シンプルなアコースティックギターの小波からテンションを静かに押さえた鼓動、そして感情むき出しの爆音ギターを叩きつけてきます。

 

アルバムはこのまま「静かな海」というこれまた静かでカオスな曲に入り、それが終わると静寂を鋭利なギターイントロが切り裂く「Go Back To China」へとつながる。そしてその次はいよいよ「Worldsend Supernova」が静かに鳴り始まるのです。

「Worldsend Supernova」は単体としても勿論名曲ですが、このアルバムの流れの中で聴くとその魅力は更に増すものとなります。

 

僕のものにはならなかった世界への羨望と慰めと諦めのようなアルバム。

 

世界が終わってしまう時はこのアルバムが鳴っていて欲しいですね。くるりの中で一番お気に入りのアルバムです。

THE WORLD IS MINE

THE WORLD IS MINE

  • アーティスト: くるり,岸田繁,佐藤征史,大村達身
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2002/03/20
  • メディア: CD
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